サービス残業をなくすために知っておきたいこと
賃金が支払われない残業「サービス残業」は、企業として絶対に行ってはいけない行為ですが、残念ながらなくなっていないのが現状です。
今回は、改めてサービス残業の定義や実態を確認し、サービス残業をなくすための対策を考えます。
サービス残業とは
本来ならば割増賃金が支払われなければならない法定労働時間を超えた労働に対して、賃金が支払われない状況を俗称としてサービス残業と言われています。略して「サビ残」と呼んで、使用している方も多いようです。
サービス残業は広く使用される言葉となっていますが、その言葉の内容は違法行為です。
労働基準法第37条で「時間外、深夜(原則として午後10時~午前5時)に労働させた場合には2割5分以上、法定休日に労働させた場合には3割5分以上の割増賃金を支払わなければならない」と定められていることから、法定労働時間を超えた時間外労働に対する割増賃金の未払いは違法行為になります。
違反した場合は、労働基準法第119条に基づいて使用者に「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が課せられる可能性があります。
自らの意思でサービス残業を行ったとしても、場合によっては残業代が支払われていないことでトラブルになるケースがありますので注意しましょう。
サービス残業の実態
サービス残業は平成30年頃まで増え続け、過労死が問題視されたことから徐々に減少しています。近年は「働き方改革」の取り組みによって、労働環境は大きく改善されていますが、労働時間を虚偽申告して、サービス残業が行われるケースもあるようです。
厚生労働省では、毎年「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果」をまとめ、全国の労働基準監督署で取り扱った賃金不払事案の件数や対象労働者数などを公表しています。
令和5年の結果は以下の通りです。
件数/21,349件(前年比 818件増)
対象労働者数/181,903人(前年比2,260人増)
金額/101億9,353万円(前年比19億2,963万円減)
※厚生労働省調べ
サービス残業に陥る要因として、人件費を抑えるために企業側が意図的に従業員にサービス残業を求めるケースが多いようです。また、意図的でなくても上司や同僚に気を使ってサービス残業をしてしまったり、残業の申請しにくい雰囲気があったりするなど、職場の風土・習慣も要因となっています。
サービス残業をなくすには
サービス残業を強いられる環境にある場合、どうしたらサービス残業をなくすことができるのでしょうか?
終業時間までに終わらない仕事がある時や終業時間が近くなってから業務の指示を受けた場合などに、サービス残業で対応しているという方も多いでしょう。このような場合は、終業時間までに終わらないとわかった時点で、時間外労働になってもよいかを上司に確認しましょう。自分の判断でサービス残業をするのではなく、賃金の支払われる時間外労働をすべきか、時間外労働はせず翌日に対応すべきかを上司に確認しましょう。
上司からサービス残業を強要される、周囲もサービス残業をしていて自分もそうしなければならない雰囲気があるなど、サービス残業を断るのが難しい状況であれば、人事部や経営層に相談にしましょう。人事部や経営層に相談しても改善されない場合は、労働組合に相談してもよいでしょう。
それでも改善されない場合には労働基準監督署の総合労働相談コーナーに相談しましょう。こちらに相談する際は、サービス残業の実態を示す証拠を提出する必要があるので、勤怠の記録や残業時間の記録を残しておきましょう。
サービス残業をしないために
サービス残業を習慣化しないためには、日頃から勤怠は正確に記録しておくことが大切です。時間外労働が必要になりそうな時には、事前に上司に相談して業務スケジュールを調整してもらうか、時間外労働を行う許可を取るとよいでしょう。
サービス残業となるのは終業時間後の労働だけではなく、始業時間前の労働も対象になります。始業時間よりも早く業務を始める場合も、正しく労働時間を申告しましょう。
残業申請して仕事をしたが、申請した残業時間内に終わらなかったためサービス残業をしてしまうというケースもあるでしょう。事前に残業申請が必要な職場では、業務にかかる時間には余裕を持たせて申請をしましょう。
まとめ
働き方改革によって労働環境は改善されていますが、サービス残業はまだなくなっていません。サービス残業は労働基準法違反であるという意識を持って、勤怠管理は正確に行いましょう。また、サービス残業が強いられることがあれば、人事部や経営層などに相談するとよいでしょう。
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